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「宮﨑勤事件」原因は環境?本人? [読書(ルポ)]

宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ (新潮文庫)

宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ (新潮文庫)

  • 作者: 一橋 文哉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 文庫


〔きっかけ〕
少女性的虐待、子供が子供を殺す、親が幼児を虐待する、と”おぞましい”事件はもう日常茶飯事になってしまったような気がします。
江原啓之の「子どもが危ない!」の内容の具体的な実例として、「宮﨑勤事件(一橋文哉・新潮文庫)」の原因は環境か、本人かという視点で、加害者は、どうして未熟のまま大人になり、どのように未熟だったかを読み解くことに挑んでみました。

〔内容〕
 加害者は、子どものころから家庭内が不和だった。工場のあとつぎになってほしいという、もっているものからは大きすぎる期待にこたえられず、両親を裏切った形になった。親や家族、そして親類縁者から”厄介者”として見られ、そのうえ、心のよりどころだった祖父が他界、世話してくれていた従業員もクビになり、「ひとりぼっち」になった。その反動で、純粋で、神秘的で、それでいて彼を優しく包んでくれる「人間の美しさ」をもとめた。

 しかし、学校や企業、ビデオ仲間でさえ一定のルールがあり、従えないものは排除される運命にあり、耐えられなかった彼は、「理想の人間の美しさをもたない」人間社会に絶望する。けれど、モノ(ビデオ収集)ではまぎらわすことができず、結局魂の救済をやはり人間に求めた。

 自己顕示欲が強すぎて仲間から嫌われる。手のひらを上に向けられない障害が原因になった劣等感から、大人の女性には近づけない。なかなか魂は救済されなかった。辿り着いた理想郷は、明るくあどけない幼女の世界であり、それこそが「人間の真の美」である、と彼は確信した。

 さらに、事件のただ中に送られたメッセージが、アルファベットに分解して組みなおすと加害者の名前になることを指摘、逮捕された後も加害者は自作自演のドラマの主役でいるのでは、と著者は分析しています。

〔コメント〕
未熟な人間は”バカ”の一言でかたづけられ、一歩つっこんだ本はみつけにくいのです。
この本は、加害者にも被害者にも肩入れすることなく、調べた事実をわかりやすく並べています。

 まず私の分析です。加害者のうまれも育ちも、闇のほうに向かってしまった環境の不遇に驚きました。生まれたとき、遺伝や家系で、悪い性質を受け継ぐこともあるようです。幼少期も、心の冷たい両親が世間体を気にして、モノや飼い犬のようにいう事を聞けばほめると、いった悪条件の中で育っています。無条件に包んでくれる両親がいないのは、リストラて漠然とおぼえる「生きる」不安と似ていると思います。さらに、思春期から大人になるころには、長男に生まれると特にですが、家とか、多くのものをしょっていて、両親への愛情に飢えているほど、なかなか捨てられないので、プレッシャーが大きいのです。

 けれど、けっして環境のせいだけにしてはいけないのです。闇のような環境におかれて、なお犯罪に走るのではなく、まっとうに生きている人のほうがはるかに多いではありませんか。

 では、自分が、わが子がゆがんで育ってしまった場合、または少しでもその芽が出てしまった場合、どうしたらいいのでしょう。

 もっている能力以上に、親が経済力・知力・体力・名誉などを期待をしたとき、大好きな親の期待に応えられず、こどもは疲れていきます。そのままにしておくと、疲れたまま大人になります。それに気づいたら、まず一度心を癒し、気合を入れて、たてなおして、それからもう一度今を生きるに必要な現実(経済力・知力・体力など)に挑戦したらいいと思うのです。

心がけなければいけないのは、目に見えない心や魂を癒す時、立て直すとき、
=>目に見えない世界でがんばる
×=>現実を見ない世界でがんばる
×=>妄想の世界に入り込んでいく
とならないように気をつけることでしょうか。なにも現実を改善できないからです。

まず現実を肯定する、認める、受け入れる勇気をもつことが第一歩です。経験上、これがとてもつらい。疲れた顔を鏡でみたくなくて、まともに見ないのと同じです。日本の道家の大家である早島正雄という方は、自分の思いに執着して見る、我執が人生をつまらなくする、といっています。

応援する周囲は、それをポジティブな言葉で促してあげることが力になるのでしょう。

うーん、この手の話は、長くなるなー。


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