「ストロボ」脳裏にうかぶ、あの瞬間を積み重ねて [読書(小説)]
「ストロボ」(真保裕一・新潮社)をよみました。
「キャリアも積んだ。名声も得た。だが、俺になにが残されたというのか-。」
50才のカメラマンが、遺影をとってほしいと頼まれたのは、若いころに撮影したモデル。
またそれが縁で、自分のアシスタントと結ばれたことをあとから知った。
22才から、50才まで、必死にカメラマンとしてのキャリアをつみあげ、最後にはなにも残らなかった???
いや、ひとつだけ、間違いなく残ったもの、それは、奥さんへの感謝でした。
遺影の撮影を終えて家に帰ったとき、奥さんにシャッターを押してほしいとたのむのです。
そして、心の中でこうつぶやきます。
「それでも俺が遺影を撮ってもらいたいと思えるのは、やはり今カメラを構えているこの女しかないような気がした。」
この言葉にたどりつくまでの、数十年の人生を、
第4 → 第3 → 第2 → 第1章
と、章番号も年齢も、さかのぼってストーリーが展開していきます。
若い時に才能にめぐまれ、才気はしり、如才なく人に接し、、、、これらがむなしくても、
このカメラマンの人生は、いい人生だったんじゃないか、こうして、ついてきてくれる人がいたのだから、、、
そう思っています。
コメント 0