「陰陽師 竜笛ノ巻」博雅にはかなわない晴明 [読書(小説)]
「おれは鬼神を術で操るが、おまえは、自身そのままで鬼神を動かしてしまう」(「呼ぶ声の」より)
酒を酌みかわしながら、源博雅に見つめられて目をそらす、安倍晴明の一言。
(桜のはなびらが散るはかなさを思い、人生のはかなさを思い、はかないからこそ、お前にあえて
よかった、と、博雅に言われて)
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「断じて行えば鬼神も之(これ)を避く」《「史記」李斯伝から》
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ということわざがあります。(Yahoo!辞書:大辞泉より)
「断固とした態度で行えば、鬼神でさえその勢いに気(け)おされて避けて行く。
決心して断行すれば、どんな困難なことも必ず成功することのたとえ」
なんのためらうこともなく、まっすぐになにかをしようとすれば、術(テクニック)を超えた力が
出せるということでしょう。
映画「ファインディング・ニモ」に出てくる、ドリーを思い出しました。
さっき会って一緒に泳いでいると、「あなた誰?ついてこないで」というくらい物忘れがひどい!
けど純真でまっすぐ、思いやりのある行動で、いわしの群れに道を尋ねたり、くじらに頼んだり
して、息子ニモをさらわれたマーリンを助けて(?)、一緒に探します。
博雅もドリーも、世渡り上手とはまったく反対です。
(この二人をならべるのは、どうかとは思うけど)
私自身も、生きる術(すべ)を学びつつ、いざという時は、心から断じて行えたら、より大きな
ことが達成できるような気がします。
その他の4編では、自分で仕込んだにもかかわらず、育てた娘の心の美しさそのままの、
”式神”形の美しさに、”悪役”芦屋道満が引き取れなかった「むしめづる姫」が心あらわれました。
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