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「原稿用紙10枚を書く力」とは、考える力のこと [読書(ノウハウ)]

原稿用紙10枚を書く力

原稿用紙10枚を書く力

  • 作者: 斎藤 孝
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 単行本


「原稿用紙10枚を書く力」(斎藤孝・大和書房)を読みました。
〔きっかけ〕
ベストセラー「声に出して読みたい日本語」で、言葉や書物を身近にしてくれた著者が、
考える力をつける書き方、そのトレーニングメニューとして、私が半年取り組んでいる
日記と、この読書感想文をのせていたので、ノウハウ本として購入しました。
〔内容・メッセージ〕
・何かを見たり聞いたりしたら、特に印象に残った、できるだけかけ離れた3つの
ポイントを選ぶ。取捨選択作業の中で、いつのまにか知っていたことが表現される。
・関連のない3つを図示して、文章を構築する。結びつける作業の中で、考える力が
養われる。
・こうして構築した文章に命・パッションを吹き込む。そのためには自分の立ち位置を
決める。たとえば、新聞記者になるとか、日記風に自分だけに語りかけるとか。
〔効用・感想〕
1.日記を書いていると、書き始めるまでとは反対に、日々は書くに値することが多い
と思うようになりました。限られた日記の行数におさめるしか毎日書きつづけることが
できないので、印象に残ったことに、優先順位をつけています。阿久悠さんがいう
「一人編集会議」(研航blog参照してください)を、感覚だけですがやっています。

選んだ出来事は、読書での「引用」にあたります。文章にすると、それを「自分」は
感じているものだ、というのがよくわかります。暗黙知というそうです。数日間でも
見返せば、そこには日々は未知の体験の積み重ねだということが「記録」されています。

2.3つのかけ離れたコンセプトを結びつける作業、これは、営業提案書を書く際に行って
いたことでした。

提案書を書くのは、仕事では簡単にいいますが、かなり苦しい。目的だけがあって、答え
もなければ道筋もないところから始めて、人に伝わって共感を得る資料をつくるのですから。

このときは、アイディアへの情熱が消えないように、そしてできるだけ思いつきでいくつもの
コンセプトが結び付けられるように、職場を離れて、会議室とか、休憩所に行って、裏紙に
手書きします。図示したり、大項目を書いたり、仮目次を作ったり。

書いた瞬間はその価値がわかっていないので、あっているんだか、ずれているんだかわか
らないのですが、少しおいて見返すと「あってるなぁ」とか「ちょっと違うな」とか、たたき台に
なるのです。そして結果的にひとつのオリジナリティのある提案書が生まれます。

3.提案書を書く際の「立ち位置」は、実際のユーザーではないけれど、違う知識をもつ人間、
です。営業レポートを書くときの「立ち位置」は、社内の担当者です。細かいレベルでの立ち
位置で考えると、提案書も営業レポートも、新聞記者のように客観的にとらえた情報と、次の
アクションを行う責任主体としてのメッセージと、2つの立ち位置を使い分けます。

4.一生懸命仕事をやってきて、上にたつようになる人は、こういう取捨選択、なにもない
ところから新しいものを生み出す構築力、立ち位置の使い分け、といったものを、仕事を通
して訓練してきたのでしょうか。

今の私の上司が、これらをとても上手に仕事で発揮している人です。取捨選択・構築力・
立ち位置の重要性を、育つなかで自然に知ったか、または家族の背中を見て、知ってい
たのでしょう。そして、心がけて身につけたのでしょう。

考える力は筋トレと同じで、いくら「頭で考えて」も、身につかないのです。私は実証しま
した。数多くのノウハウ本を読みましたが、いまひとつ生きる力が身につきませんでした。
ノウハウはうまくいく話ばかりですが、実践すると、うまくいかないことに「出会った」ら、
考えを修正しなければいけません。その修正が、方向性をあわせることになります。

上司と違い、40歳過ぎて大切さを知った私ですが、 
・ 自分自身と向きあうことで自分を取り戻す(斎藤孝)「日記」
   =思いがけない出来事との出会い=
・ 楽しむ「読書・映画鑑賞感想」
   =感動との出会い=
・ 生活の糧である「仕事での成果物」
   =多くの仲間、顧客、競争相手との出会い=
それぞれの出会いで心がけて文章化して、鍛えていこうと思います。
前から感じてはいたのですが、その思いをあらたにしてくれた本でした。


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コメント 2

 はじめまして、おじゃまします。
 原稿用紙…。
 高校のとき学習合宿で、一日にひとつテーマを与えられて、5枚程度の小論を書くという課題を、2週間程度(かなりハード)かせられました。
 同級生は文句タラタラでしたが、私はなぜか楽しかったのを覚えてます。
 ひとつのテーマに関して、じっくり考えて、自分の経験をもとに考えを書き表すというのは、とても訓練になりました。
 いまでは、その時その課題を出して下さった先生に感謝しています。
 「書く」、という作業は「考える」ことにつながっているのだと、本当に思います。
by (2005-03-07 12:08) 

研航

はじめまして、せきせいかんこさん。
「書く力」=「考える力」を実際に体験されていらっしゃるんですね。
 それも頭が柔軟な高校時代に実践しているので、その後きっと大きなプラスになったのではないでしょうか。
 人気を取りたいところなのに、嫌がるみんなを無理やり書かせるなんて、愛情の深い先生ではありませんか。
 私の場合、38歳、会社の議事録がスタートでしたからね。。。。ある意味、うらやましいです。
by 研航 (2005-03-07 18:56) 

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