ポン抜きゲームを、一人で、それも対局しながら覚えたい人 [囲碁]
日本棋院のページの中に、一人でできる、対戦型ポン抜きゲームがあります。
よく囲碁の入門者用の説明で、
ポン抜きを最初にやって、囲碁に慣れよう
ということがかかれています。
けれど、一人で始めたいわけで、それも、やっぱりゲームなんだから、
ゲームしながら覚えないと、勉強してまで覚えたくない!
というひとには、このPC用ゲームを使ってみては、いかがでしょうか。
ダウンロードは、こちらから
http://www.nihonkiin.or.jp/juniorclub/igocatch/index.htm
インストールの仕方なども、書いてあります。
インターネットにあがっている他のソフトがインストールできる人なら、大丈夫です。
ゲームの最初の設定は、ここに説明があります。
http://www.nihonkiin.or.jp/juniorclub/igocatch/game.htm
ただし、初心者には、めちゃめちゃ強い!
そこで、使い方から必勝法(このソフトだけですよ)を、画面だけで説明するブログをアップしました。
http://blog.goo.ne.jp/kenkoh3/e/f13687ab9125b8d553d7ab74ed9c8023
ここから、「次の記事へ」をどんどん押していただいて、その通りに黒を打てば、勝てる、ようです。
(3回くらいなので、確信ないですが)
これを少しずつアレンジして、途中で違う打ち方をしてみてください。
勝てなきゃつまらないですものね・・・・遊びですから・・・・
『人生さんの囲碁入門講座』囲碁・入門&その後、のオススメHP [囲碁]
がなくて困っている、
そんな方向けのHPがありました。
『人生さんの囲碁入門講座』
どんな人に役立つか、具体的にイメージしてみました。
1.これから覚えたい
2.ルールは覚えて、ゲームソフトの弱いモードでは勝つけど、ネットに出たらまったく勝てない・・・
今回は、1.これから覚えたい、を紹介いたします。
1.これから覚えたい
a.こんな3パターン、想定してみました。
(1)男性(夫?)32歳-女性(妻?)27歳
(2)女性(母?)35歳-子供(息子?)10歳
(3)男性(中学3年生)15歳
(1)男性は、囲碁に興味あり。女性は、男性がやるのなら、覚えて一緒にやってみたい気もしてる。
二人で囲碁を始めてみたいが、教室に飛び込むまでのエネルギーはないし・・・
まず男性が囲碁を覚えよう!と決意!
そこで、、、、『人生さんの囲碁入門講座』
(2)息子が囲碁をやってみたいといっている。母は、昔からちょっと興味があって、息子と一緒にあそべそうな囲碁を、この際覚えてみたい。
そこで、、、、『人生さんの囲碁入門講座』
(3)一人ゲーム、PS3もWiiも卒業したい、だけど外に出るのはおっくうで、だったらネット囲碁がいいんじゃないかと思いついた。
ところが、囲碁を覚えるところが、街の碁会所はオヤジの集まりだし(碁会所の方、ごめんなさい。若いのはこんな印象かな、と・・・)、学校の囲碁部までは気合入らないし、、、
そこで、、、、『人生さんの囲碁入門講座』
b.具体的には、、、
このHPでは、まず、
(1)基礎講座 で、
「基礎講座1」では、囲碁の基本、石の取り方を、実際に画面上で取った石が消えてしまうイメージを味あわせてくれます。
「基礎講座2」では、石取りゲーム(ポン抜きゲーム)を紹介しています。
ポン抜きゲーム(石取りゲーム)は、クリスタル9路盤、とか、
色つき碁盤(パンダネットで販売予定とか)
数千円の投資ですが、これでずいぶん囲碁へのハードルがさがります。
「白黒で、なんか辛気臭いんでないかい」
チェスに負けてるのはこの部分だと思う。
見た目もおしゃれで楽しいほうがいいじゃないですか。
特に女性や子供には、渋さは無縁ですよね。
次に、
(2)実戦講座
で、囲碁とは、、、、を説明していきます。
「実践講座1」
で、、「あと何個相手に打たれたら取られてしまうか」を意識してうつ練習をします。
具体的に、
「ハンディなしではまず、黒は勝てないので援軍(研航注:ハンディのために最初から置いておく石)を9人ほど用意しましたw
実力差(研航注:ハンディをおくということは、相手が実力が上、ということなので、)は仲間(研航注:援軍のこと)の石の力を借りて、上手に白(研航注:相手)をやっつけてください」
という課題がでまして、ボタンを押しながら一手ずつ進むサンプル対局が、載っています。
碁盤の下に、少し文字が小さいですが、雰囲気のわかる解説がありますので、実況中継と思って読みます。
そして、「実践講座2」では、同じ碁盤ですが、「白が反撃してきます」
(研航注:実践講座1の白は、素直というか、従順というか、反撃しないおとなしい相手でしたが、、、、)
これも、実況中継風に、解説を読みながら雰囲気を味わいます。
そして、最後に、囲碁とは、、、、に結びつきます。
「実践講座3」では、今まで実践講座1、2で見てきたゲームの流れが、実は囲碁の勝敗ととても近いことが説明されています。
これで、囲碁がどういう風に進んで、どう勝負がつく、という雰囲気がわかると思います。
で、私の経験から、もうひとつ別な角度でのアドバイス、、、
「プロ棋士(九段)にして東大客員教授、石倉昇さんの『入門その後』の決定版」でご紹介しましたが、9路盤で模範対局を並べると、囲碁が地の広さを競う、とすでにインプットされてしまっている方に、イメージがわくと思います。
とくにその流れで、覚えるのでしたら、
6路盤の模範対局というのもあるので、それを暗記するまで並べてみるのも、いいと思います。
実践的なのは、ずっとこのHP『人生さんの囲碁入門講座』ですけど。
で、このあたりで、囲碁きっず!に行って、50Q(ちょっと面白いのは、級、じゃなくてQなんです。それでも、けっこう的確なランク付けです)の認定試験を受けてみれば、囲碁の世界に飛び込めます。
50、なんて、多い数字はいや!という、ちょっとプライドのある場合も、どんどんQ位は認定試験を受けてあげることができますから、まずはQ位をもってみるほうがよさそう。
私は15Qから入ってしまって、30Qに先日合格したんですが、その間1ヶ月、かなり特訓(具体的には、2.ルールは覚えて、ゲームソフトの弱いモードでは勝つけど、ネットに出たらまったく勝てない・・・だったので、このHPとそれに対応する指導をこの著者から直接受けることができましたので、合格しました。)
認定員の方はたくさんいますが、このHPを見てから囲碁きっず!に行ったのでしたら、HPの著者「人生さん→囲碁きっず!ではハンドルネーム「人生前進中」さん」に、「HP見ましたよ」と声をかけてみてはいかがでしょうか。私のように、ラッキーで指導してもらえるかも・・
声をかける機能が、囲碁きっず!にはあります。
もしいなくても、いつごろ「人生前進中」さんがいたか、記録を見る機能もあるんです。
「さがす」というメニューです。
囲碁きっず!のナビは、そのうちあげます。
2.ルールは覚えて、ゲームソフトの弱いモードでは勝つけど、ネットに出たらまったく勝てない・・・
というのも、いずれ紹介します。
クリスタル9路盤は「さわやかいご」って感じです [囲碁]
で、きれいなんですよ。
おくさんは超入門者で、先日6路盤で3回打っただけなんですが、包みを開いたその場でいきなり対局開始、「きれいだねー」といいながら、終局までうてたんです。
日本棋院の販売係の人が「少しお高くなりますけどよろしいですか?」なんて気遣って聞いてくれましたけど、たいへんお買い得ですよ。
おしゃれで、しかも初心者が囲碁をうつきになるんですから。
色の組み合わせも増えて、この写真のほかに、グリーン&レッド、ブラック&ホワイトが選べます。
こちらが販売元です。
スターナイン社
囲碁入門者の集まり『囲碁きっず!』で9路、13路盤仲間発見 [囲碁]
と志をたててみたものの、13路盤希望者はけっこう嫌われるのがわかってしょんぼり、、、、
パンダネットは4月から、相手と希望をマッチングさせるプログラムから、9路、13路を省いて19路だけにするし…
日本棋院「幽玄の間」は、ハンディなどのマッチングをしてから、13路の希望を出すと辞退されること多し…
ところが、なんと無料の「級位者(つまりはじめて間もない人)」向けのサイトを発見しました。
囲碁きっず!です。
名前から「大人は入れないのかなー」と思ったら、どっこい、大人が多いようです。
無料登録で名前とパスワードを登録したら、あとは対局場「ホップ9」へ
そこに行くと「部屋」と呼ばれているリストが並んでいて、
・対局用(だれかと対局をしたいと思っています)
・検討用(一緒に勉強会をしたいと思っています)
がメニューにかかれていて、しかも
・9路盤希望
・13路盤希望
・19路盤希望
さらに、初心者にうれしい
・6路盤
練習で使う
・5路盤
も見えるので、もう大助かり。自分の希望の相手がとても見つけやすい。
たとえ見つからなくても、自分で思い切って
「部屋を立ち上げて室長になる」
看板が出せるので
「13路盤で希望の方はどなたでも」
なんて書くと、同じ希望の人が入ってきてくれるんです。
雰囲気がかなりいいので、普段の会話のように、
「初心者ですがお願いします」
と言えばOK!
私は大胆にはじめから部屋を作ってしまったのですが、入ってきてくれたテルリンさんという方はとても親切で強くて、十分楽しめました。
初心者向けの本の紹介も、私の実績と一致しているので、サイト全体がおすすめです。
対局の碁石をブルーとピンクにできたり、背景に海を用意したり、と、ちょっとカジュアルでアットホームなのも気に入ってます。
プロ棋士(九段)にして東大客員教授、石倉昇さんの『入門その後』の決定版 [囲碁]
この本で学んでよかったことは、
模範対局を10回並べていけば、中に含まれている戦いの要素がわかってくること 戦うときに気をつけるポイントが書かれているので、3回くらい並べたころには、囲碁のゲーム進行イメージが身についていること。 大きく囲った自分の陣地と思っているところに、相手が入ってきても、つぶし方があるんだとわかったこと
(つぶし方を理解できたのは、2度目か3度目に読み直したときでしたが)
最初の模範対局だけで、「定石」とよばれる、パターン化した石の置き方を二つ覚えられるので、実践のゲームですぐに使えた。
実際に碁石を並べながら、ほぼ暗記するまでに10回くらいだったでしょうか。
ずいぶんなじみましたね。
私は19路盤の模範対局を並べましたが、入門してまもないときにやり方に気づいていれば、9路盤の模範対局もあるので、こちらをならべてみてもよかったかな。これから始める人にはお勧めですね。
模範対局の順序なのか、間に入っている参考図なのか、大きさも色も変わらずわかりにくいので、最初に色づけして区別しておくと読み進みやすかったです。
でも実践がないとつまらないので、ゲームソフトの9路盤で、勝ったら置き石を少しずつ減らし、負けると悔しくてこの本に戻る、を繰り返していきました。
本の最後に、9路盤でハンディ(コミ)3子置くと、12級差、このゲームの「弱い」設定は10級くらいだから、今自分は22級くらい、と、実力が少しずつついていくのを具体的に級位でおきっかえて楽しみにして進めたら、
1年でだいぶ級があがりました。
この本は思った以上に内容が盛りだくさんなので、ちょっと手を入れて使えば、級位があがった後に読み直すのにも大変いい講義です。
じつは今回紹介したこの本の内容と、以前にご紹介した梅沢由香里さんの入門書をさらにやさしくした内容とがあわさって、さらにさらに工夫されている本が、これ、
東大教養囲碁講座―ゼロからわかりやすく (光文社新書 309)
- 作者: 石倉 昇
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 新書
なのです。
その工夫とは、
- 6路盤を最初に使用して、広すぎない碁盤で勝負がつく感覚を覚える
- 「石埋碁」という、自分の庭にしたところを埋め尽くして、どちらが多いかを数える
という、これまでの囲碁界の常識を越えた発想です。
6路盤は、広すぎずにほっとしますから、興味のある方はぜひ試してみてください。陽気な赤白の碁石で、黒白に木目の地味さ?がなくていいですよ。
「石埋碁」については、機会があったらご紹介します。
プロ棋士で石倉さんより「入門その後」をさせるのが上手な方はいないのではないでしょうか。
同様に、梅沢由香里さんは、美しい姿とあわせ「入門」をさせるのがもっとも上手なプロ棋士でしょう。
東大の教養学部でお二人が講義されているのは、最高の組み合わせだなー。
あ、この本の注意点を。
なにせあの「東大」の教科書なので、最初の章に東大の兵藤先生のガイダンスが書いてあります。
講義テキストでなく実用書として使われる今回は、最後に読みましょう。
あと、新書版なので、読み飛ばしがちですが、実際に並べることをお忘れなく。
『囲碁の人ってどんなヒト?』穏やかな囲碁棋士の人柄 [囲碁]
依田紀基九段のまっすぐ人柄が印象に残るのですが、おもしろかったのは、 石倉昇九段が負けて泣いた話。
著者と食事の際、前日の河野臨天元との碁を解説しながら、 「全く予想していなかった手、地としてはほとんど得をしていないけれど厚く、四方八方に光る手」 を打たれて 「ボクは計算ができる手しか思いつかない。こんな手、一生思いつかない」 と言って、九段は鼻をすすり、眼鏡をとって涙を拭きはじめたそう。 あとからその話を聞いた小林光一九段が 「負けて泣くなんて、石倉もまだまだ根性があるじゃないか」 と見直したというふうな口調だったそう。
石倉昇さんは、アマチュア出身で、初心者・初級者にわかりやすく教えるヒトとしては、梅沢由香里さんと双璧です。
現に二人で、東大教養学部で囲碁講座の講師をして、半年かそこらで全く囲碁を知らなかった学生を最高四級(ゴルフで言えば100を切る腕前)まで伸ばした実績があります。
前の記事で取り上げた、
「碁」でグングン育つ!子どもの脳と心
にかかれているのですが、プロ棋士は師匠から「考えるな」と言われるそうです。感覚で判断しろと。
囲碁の競技としての頂点にいる方たちは、左脳を使わずに次の手を決めているらしい。
これはよほど若い時から頭に囲碁の形がインプットされていないと、できないことですよね。
石倉さんは、子供の頃は趙治勲さんと遊んでいたりしたように、院生だったのですが、途中で普通の学生やっていたんですね。それで東大出て、社会人になってから一念発起してプロ試験に合格したという異色の棋士。
こんな経歴だからこそ、アマチュアの考え方をわかるから、わかりやすく教えてくださるのだと思います。
「一流プロになるには」という項で、羽根泰正九段が
10代のうちにどれだけ真剣勝負の経験を積むかで、その棋士の将来が決まるというのです。そのためには一刻も早くプロにさせることが大切。院生やアマチュアの身分ではいくらプロと打っても、真剣勝負にはなりにくいですよね。やはりプロとプロという対等の立場で手合い(試合のこと:研航註)をして、挫折もし、修羅場をくぐり、と経験を積むことが、将来花を開かせる大きな要因だと力説されていました。
という記事から、しかし、石倉九段は最近こそ名人戦や棋聖戦リーグには出てきませんが、九段という十分一流で、アマチュアを入門させるという考えてみればもっとも囲碁界を盛り上げる要素を最高に引き出せる能力を培ったわけで、ここまであわせて超一流ではないでしょうか。
こう考えると、やはり一度囲碁をやめて、慶應出てからプロになり、女流棋聖を二期続けて獲得、そのあいだに東大・東邦大の講師をはじめ、アマチュアの指導に奔走している梅沢由香里さんのものすごさが、クラクラします。
この本にも梅沢由香里さんのエピソードが載っていて、
囲碁界や日本棋院、とくに普及のことを由香里さんは人一倍気にかけていて、「私にできることなら、微力ながら」と言いながらいろいろ考え、一生懸命努力をしています。 (略) メールなどのやりとりをしていて印象的なのが、 「感謝、感謝です」 という言葉がしょっちゅう現れることです。由香里さんは本当に心からそう思っているのだと思います。みんなの支えがあってこそ、と感じておられるのでしょう。
それからちょっと興味深かったのが、「囲碁と将棋」
女流棋士の手合いで、対局者二人が車中、仲良く隣同士で座り、夕飯も一緒。対局が終わって帰るときはまた一緒、と言うことはよくある風景です。 将棋の矢内理絵子女流四段とお食事したとき、この話が出たら、
「信じられない。将棋界ではありえないかも。」
と言っていたのが印象的でした。
(略)
勝負の性質が碁と将棋では違うからかな、と私は思っています。
将棋はいわゆる「勝着」というのがよくあるそうで、また、必ず敗者が「負けました」と頭を下げて決着します。
囲碁は負けても自分のせい。「敗着」は必ずといってあるのに、はっきりとした「勝着」はなかなかありません。林海峰先生も「囲碁は負けてもらうゲーム」とおっしゃっていました。
自分のせいですから、だれもうらみません。小林泉美さんは
「負けると、相手を尊敬しちゃうんですよね」
と言っていたこともあります。
負けると相手を尊敬する、、、これは、人生を謙虚に、そして、自分を伸ばしていく、けっこう大きなポイントではないかと、思います。
囲碁は、こういう良さがあるのかもしれません。
すみません、将棋のよさはまた別にあるようで、私はわかっておりません。
依田九段のことを書かないと、もったいない気がするので、ひとつ。
レンブラントの「夜警」があるので有名な国立博物館に入ろうとすると
「レンブラントって、何?」
と聞かれました。
私は、
「画家……」とこたえました。
(略)
「へー、そうなんだ。内藤ちゃん、何でも知っているねえ」
(略)絵を見て回っていると、
「僕、もっと明るい絵が好きだな。夕日より朝の太陽がいいね」
と依田さん。ずっと後ですが、息子さんに「太陽」くんと名付けたのも、うなずけます。
ひとつと言って、もう一つ。
あるとき依田さんから、
「詰碁とかやっている?」
と聞かれました。
「そんな暇ないよ」
と答えると、
「暇なんていくらでもあるでしょ」
「例えば?」
「……信号を待っているときとかさあ」
びっくりしましたね。プロはそんな時間でも碁のことを考えているのかと。
詰碁が頭に入っているそうです。我々素人にできることと言えば、ポケットに詰碁の薄い本を入れておくくらいでしょうか。
危ない気もするのですが、最近は携帯を見ながら階段を降りている人も多いので、仲間かな?
囲碁の世界は、勝負の世界であり、実を取る世界なので、必要以上に派手さがないので、いわゆる「地味」です。
武宮正樹九段は、別格ですが…
それでいて、囲碁自体が人を育ててくれるようで、ドロドロしたところはすべて碁盤の上で解消しているので、プロ棋士の人柄はサラリーマンのドロドロしたところがなく、さっぱりしていて親しみやすい、といったところでしょうか。
『「碁」でグングン育つ!子どもの脳と心』大人の脳と心も育たないか [囲碁]
『「碁」でグングン育つ!子どもの脳と心』を読んでみました。。
私は、著者の武川さんの考え方に賛成です。
そして、私自身の経験ですが、大人でも囲碁をやるようになると、冷静に考える場面、全体の状況を見る場面、定石というか仕事のあるべき順番を思い出す場面、そして工夫して次のアクションを決める場面など、整理されてくるようです。
営業という仕事と、囲碁がどう似ているか、関係あるか、など下記のブログで気づいたことを書いていっています。
よければ見てみてください。
囲碁・英語・営業~いご・えいご・えいぎょう~
ポイントはいくつかあるのですが、いちばん感銘したところを3点、まとめてみます。
1.ビジネススクールと同じかそれ以上の訓練ができる
2.囲碁は、「考える力」の基礎から応用までを学ぶことができます。
3.武川さんこども囲碁教室の3つの基本理念「よく考える」「人の気持ちがわかる」「気持ちの強い」
1.MBAビジネススクールと同じかそれ以上の訓練ができる
MBAビジネススクールで行われる訓練の主目的のひとつは、思考訓練です。
囲碁の数手先を読む訓練が、ビジネススクールの思考訓練と同じなのです。
さらに、それ以上かもしれません。
理由:MBAビジネススクールで扱うのは、数年以上まえの事例(ケーススタディ、といいます)ですが
囲碁は現実の勝ち負けがあり、試合中、試合後、どちらも勉強や検討が訓練になるのです。
試合(手合い、といいます)中の勝とうとする思考訓練、
試合(手合い)後のなぜ負けたかの分析訓練
2.囲碁は、「考える力」の基礎から応用までを学ぶことができます。
社会で重要な思考
判断 自分なりの判断を下す
統合 統合・創造する
分析 要因を分析する
応用 法則などを応用する
理解 法則などを理解する
知識 知識を覚える
青矢印:囲碁による訓練
ピンク矢印:日本の教育
赤矢印:上に行くほど高度な思考
左側のピラミッドは、ブルームの思考レベルとよばれるものです。
考える、ということを6つにわけて、上にいくほど、高度、ということになるそうです。
もとは、炭谷俊樹さんの 第3の教育-突き抜けた才能は、ここから生まれる (角川oneテーマ21 (C-4)) にのっているそうで、これに、おそらく著者の武川さんが、囲碁による訓練、という矢印を加えたのでしょう。
3.武川さんこども囲碁教室の3つの基本理念「よく考える」「人の気持ちがわかる」「気持ちの強い」
「よく考える子」
「人の気持ちがわかる子」
「気持ちの強い子」
上記1.2.は、一つ目のよく考える子を目指している部分ですが、あわせて、二つ目と三つ目が重要で。たとえば黒側にたって、白側は次にどう責めてくるか、どこを押さえれば白に邪魔されずに済むか、など、相手の立場にたって考える訓練にはうってつけ、ですね。
さらに、ゲーム機のように、自分が負けそうになったらリセットするわけには、相手に悪い、のでできない、しずらいですから、対面するゲームのよさがここにもあるのです。
このほか、インターネット囲碁の際に外国人とあたると、英語でチャットをすることで、語学のきっかけができる、という章もあります。対戦相手が外国人なんて、子供にはかっこいいですよね。
武川さんの囲碁教室の基本理念の3つめ「気持ちの強い子」にどう育てていくか、これは本当に大きいテーマですが、入門者~中級者向け月刊誌『囲碁未来』4月号の読者ページに、こんな投稿がありました。
(略)体調がよいときはそれなりの点数、体調が悪いときはどうしてこんなミスをと思うようなことが多くなります。
囲碁は体力と囲碁仲間の一人が言いましたが、本当に健康でないと棋力も上がらないということを実感している今日この頃です。(略)
気持ちの強さを養うことは、囲碁が強くなることに結びつくのでしょうが、それにはまず健康状態がよいことではないでしょうか。
私自身も、疲れて帰ってきて、たとえば詰め碁という練習問題を解くと、頭、とくに左側が痛くなってきます。
頭が使われている証拠でもありますが、こんな状態で練習や稽古を重ねてもプラスになるかどうか…
こどもでも、頭ばかりの子にならないよう、まずは健康状態を整えて、そして、囲碁で対人関係や戦略の訓練、というのがよさそうです。
そのときはじめて、気持ちの強い子が育っていくのではないでしょうか。
そう思うと、導引術などで体を整えることで、能力というのは大きく育っていくのだろうと思うのです。
「地と模様を超えるもの―趙治勲の囲碁世界」冷静な観察眼は自身の世界にも [囲碁]
まだあまり囲碁をわかっているとはいえない私ですが、目的が大局観などを養うことなので、こういう囲碁の対局から一般世界をみようとする試みの本に、響くものがありました。
趙治勲(ちょう・ちくん)さんは、言わずとしれた囲碁の大家で、過去の本因坊10連覇などの数々の記録、というより勲章をもち、50代に入ってタイトル獲得のピークは過ぎたものの、囲碁のピークが過ぎたとはいえるかどうか、いまだに十段戦、NHK杯で優勝したり、その力は衰えたとはとてもいえません。
十年前の三大棋戦三連覇がすごすぎで、そのまえの三大棋戦すべて優勝から数えて十四年かかったっわけですから、たまたま今、囲碁の世界の流れに乗っていないだけで、また復活するのではないかと、何の根拠もないものの、そう思えてなりません。
この本で趙治勲さんがもっとも言いたいことの一つは、
「プロトタイプに一面だけから棋士を、いや、世界をみるな」
ということではないでしょうか。
それは、棋士の性質を1/0(イチゼロ)にわけてわかりやすくしようとするメディアや世間に対する警鐘でもあり、囲碁という陰陽の入り交じった混沌とした世界観にマッチする考え方だと思います。
陰陽の世界、その混沌とした世界は、たとえば
「禍福はあざなえる縄のごとし」
ということわざに現れているのではないでしょうか。
本の内容を紹介しますと、
シノギの碁と言われるし、確かにそういうことは多いが、反対の見方もできるものだと。
ある対戦で、ほとんど負けかけていた碁に対して、一カ所突破口を見つけて逆転したことがあった。
世間はそれを当然逆転の碁と呼んだが、それは果たして、最初からそこに打つべき手があって、有利だったのは最初から勝った趙治勲さんで、それを見落としていたら、逆転負けしていた、ともいえないだろうか、と。
碁打ちには、楽観派と悲観派にわけられると、NHKの月刊誌で読みました。
あの明るい梅沢由香里さんも悲観派だとか。
その分け方からすれば、趙治勲さんも悲観派でしょう。
なにせ、途中で形勢判断をしない、というのです。
高川秀格先生(二十二世本因坊)は、若い自分からかなり克明に形勢判断を行う人だったそうです。(略)
坂田栄寿先生(二十三世本因坊)は、(略)、ほとんど形勢判断をしない人です。
両巨頭、タイトル戦(番碁)で顔を合わせること十五回。高川先生が勝ったのは、驚いたことにたったの一回だけでした。
(略)
では、どこで敗れたのか。終盤です。(略)形勢判断同様、高川のヨセは計算のヨセでした。一方、坂田のそれは計算はするけれど、むしろ手筋のヨセ。最後の最後まで戦いの要素を持続させ、一目でも二目でも得をしようとする、貪欲な手筋のヨセ。
(略)
となると碁には計算よりも大事なものがあると、このエピソードは物語っているかのようです。
(略)
趙治勲の場合を申し上げましょう。(略)まじめに形勢判断をはじめると、心理的精神的にうまくいかないのに気がついた。対局中にもまじまじと味わうのですが、これをやると人間がおかしくなってしまうのですね。簡単にいってしまうと、「凡」になる。「貧」になる。対局者として、凡庸かつ貧困、貧弱なレベルに堕していくのを感じてしまいます。
(略)
碁は自分の力量だけで勝てるものではありません。(略)では何かというと、月並みながら純粋な気持ちで盤に臨んでいる人にのみ、ラッキープレゼントが降りてくるような気がします。
そして私の場合に限って、計算をすると、形勢判断を行うと不純になってしまうのですね。
少しいいのか、かなりいいのか、よさの度合いを量りはじめると、もっといけません。何か新鮮なことをやろうとする意欲が失われてしまうからです。
いや、その場その場で、いいと思うこと、わるいと思うこと、そのこと自体はいいのです。「これはよさそうだな」、「これは少し悪そうだな」と。
ただし、その一言、一行だけにとどめておくべきで、さらに自分に強く言い聞かせたり、それによってみずからを奮い立たせたりすると駄目。それがプラスになるタイプの人もいるのでしょうが。
ただし、そればかりではない、とも…
こういう陰陽両面を語る方なので、自分で言うとおり、プロトタイプにあてはまらない方なので、
三大棋戦七番勝負の第六局か第七局。
(略)そしてそういうときは、どんな勝ち方でもいい。
形勢のいい中終盤にフルエがきます。碁を一気に決めにいくきびしい手段と、控えて堅実を期す手と二つあって、結局は後者のぬるい目の手を選んでいるのですね。
(略)
ただし、めったにない特別の碁。ふだんの対局なら前者の、一気に決めにでる手段を選ぶでしょう。
このエピソードからもわかることは、そして今でも現役最前線にいられるということが示すのは、これこそ月並みですが、いつも精一杯、ということではないでしょうか。
このいつも精一杯碁に臨んでいる姿勢が大切で、そこから得るものの膨大な積み上げがあるからこそ、本当に勝たなくてはいけない特別な勝負の時に、そんなときこそ必要な、堅実な碁が打てるのではないでしょうか。
こうだと簡単に決めてしまうと、その後考えるのをやめたり努力することをやめたりすることにつながり、その姿勢を崩してしまう、ひいては長い(碁打ち・人の?)人生のマイナスになる、と。
これが、前書きに書かれている
碁打ちは碁だけを語れば、政治にも経済にも文化にも及ぶことができると、少年時代から信念がありました。世界が全部、碁というゲームの中に詰まっていると考えるからですが、あるいはこれは錯覚でしょうか。思い上がりでしょうか。
というメッセージへの、私なりの小さな「賛成!」です。
ご自身でもまとめられています。
どうやら、ほんの微妙な差が、事の成否をすべて分けているようです。
一局の碁がそうであるなら、人間社会はすべて微妙な差異で動いていっているのではないかと、長年碁だけをやってきてつくづく思います。
微妙な差の積み重ねが、大きな成果をもたらすのだから。
なんだ、それならいたって簡単なことではありませんか。日本人ならそんな話、昔から老若男女みな知っています。
-チリも積もれば山となる
何もむずかしいことはいわなくていい。確かにこの格言一つあれば十分でしょう。
チリは微妙な差のこと。
それを私たちは一生懸命考える、取り組む。
そのとき私たち自身が実はチリなのですね。
はなっから、偉い人間でもすばらしい人間でもない。
でも続けていけば、そのうち大きな山(偉い人間)ができあがるかもしれません。
さらにその哲学の如く、巻末にある歴代名人や棋士の評価は、賞賛一方の世間とは一線を画して、時代背景まで含めたいい面、悪い面を両方語ってくれています。これは、社会での人物評価にもつながるものがあるかもしれません。でも、これも控えめに結論づけていて、誰か一人のスーパースターがいることだけではなく、みんなが強くなることが、その世界を盛り上げていく、というような大きな観点で語られています。
碁打ちはおもしろいですね。
これからまた碁を学んでいくのが一層楽しみになりました。
梅沢由香里さん:小さな9路盤で囲碁を始められます [囲碁]
以前のブログ記事で書いた本を読んだ後、囲碁のゲームがどういうふうに進められるか、梅沢由香里さんの別の本で、はじめて理解しました。
梅沢由香里さん、ご存じの方には申し訳ない説明ですが、慶応大学を出た美人プロで、漫画「ヒカルの碁」の監修もつとめ、NHKを始め囲碁の顔として活躍、しかもこのところブームがさって囲碁対局に専念できるようになったせいか、男性棋士との勝率ナンバーワン、先日念願のタイトルもとって、近年の囲碁界になくてはならない存在の棋士です。
サッカー選手と結婚しているのですが、ブログが気が利いていて人となりがよく出ています。
内容は、目次だけ見るとほかの入門書と変わらないようですが、じつはテンポよく順番に構成されていて、厚い他の本よりすっきり頭に入ってきます。
わたしはこの本で、難解な囲碁のルールがわかり流れが理解、できて、いよいよAI囲碁で遊び始めました。
こんなにわかりやすく本がかける人、意外にいないんですよ。
もちろん、まわりのスタッフの力も大なんでしょうが。
きっと本当の意味で頭がきれて、また、人に接して説明する力のあるプロなのでしょう。
少々アイドル化していて、忙しいようですが、これからも、子供や初心者への普及にも、タイトルにもがんばってほしいです。
今月(平成19年10月)末に、囲碁のファンキーなイベントを東京・池袋で開催するそうです。こちらも楽しみです。
囲碁ってこんな感じかも…ずぶの初心者が囲碁を始める [囲碁]
なんでこんなタイトルをつけているかというと、自分が小学校高学年か中学生のころ、五目並べをやっていて、囲碁にも興味があったのに、トランプの本みたいなやさしい入門書がなかったからなんです。
その頃を思い出してみますと、
難しい大人向けの入門書の最初に書いてある、教えるのが、
「四方を囲むと相手の石がとれます」
→声:白石1個で黒石4個なんて、見りゃすぐわかるし、白黒交互なら、もっと白がたくさんいるはずだ!
「陣取り合戦です」
→声:終わっている図を見ても、なんでこんな中途半端なところでやめるんだか、わからないよぉ!
この説明だけだと、勝敗がどうやってつくか、イメージがわかないんですね。将棋はその点、王様をとれば勝ちですから、わかりやすい。
次に
「ヨセ」
「死活」
「コミ」
…
やめてくれー。
二度挑戦しましたが、あきらめました。
そこで、この記事は、最近なんとかわかってきた私の意見です。
囲碁は碁盤という戦場の上に、自分の陣地といえるところをたくさんとったほうが勝ちです。
黒チーム、白チームをきめて、二人でゲームします。
(タテヨコの線がクロスしてるところに、黒白順番に石をおいていきます。)
陣地の数というのは、石で壁をつくったその中の、(タテヨコ線)クロスの数です。
(壁の部分の数は、数えません。)
敵と出会ったとき、敵を前後左右から囲めば、敵は捕虜になり、戦場から連れ出されます。連れ出されたあとには穴があいて、自分の陣地になります。
一度自分の陣地にしても、戦争ですから、とられてしまうことがあります。
それは、
自分の陣地全体が、敵に包囲されたとき
中に敵のもっと立派な強い陣地・お城が作られたとき
です。
…おお、それじゃあ、いくらがんばって陣地を作っても、元も子もないじゃないか…
でも大丈夫、自分の陣地が、戦国時代のお城のように、その中に敵が入ってこられないような、入ってきてもすぐに囲んで捕虜にしてしまうような強い陣地の形があるんです。
お互いにこんな強い陣地を、どれだけたくさんつくるか
または、そんな強い陣地を作らせないように、たとえば相手の陣地の柱の部分になりそうなところにあらかじめ石を置いておくとか、して、
が、勝負で、イコール陣地の数が多い、ということになります。
で、さらに捕虜にされた石は、かわいそうなんですが、味方にとってはやっかいものなんです。
なんでかというと、たとえば陣地を30個とったとします。
ところが、捕虜が帰されてきたら、自分の陣地内においてあげないといけない、紳士的なルールになっています。
そのため、捕虜が一人返されると、陣地の数がひとつ減って、29個になってしまうのです。
というわけで、
できるだけ捕虜をとられないようにして(多少の犠牲はつきものですが)、
敵の(先兵隊・見張り)石があまりうようよいないところに、
間合いをとりながら、少しずつ戦場に(先兵隊・見張り)石を送り込んで、
その石を陣地の防御壁にもしつつ、
ポツッとした石をおいて壁の柱をたてるところから始まって、
石をコツコツ、壁のようになるよう、柱をいい間隔で立て続け、
その壁や柱が、見張りや兵隊にもなる。
それらが仲間と協力すれば、相手の包囲もできる
こうして、敵がじゃましに来ても、
・見張りと柱と新しく送り込む石で包囲して捕虜にしたり、
・入らせないようにじゃましたり、
その逆をやられたり…
というようなことを繰り返しつつ、
碁盤という戦場全体
(ふつうは、上、下、右、左、中央の5カ所くらいが小さな戦場になります)で、
ほぼ勝負がついてうつところがないというふうにお互い納得したら、
最後にきちんと陣地の数を数えて終了です。
まずは、ブログ記事にあげてありますが、石を囲う、相手を何人捕虜にするかを競うゲームをやってみましょう。
というところでしょうか。
じつは、後でブログ記事にアップしますが、もう2,3冊読んだほうがよくわかります。
1.肝心なところ、囲碁のわかりにくいところは、横内猛さんの
独創的囲碁入門 奇跡のコミュニケーション―囲碁という魔法のコトバ
がわかりやすい
どうやって勝敗がつくか
なんで最後まで石を埋め尽くさなくて、勝ったり負けたりするのか
この石は生きてるとか死んでるとか、目があるとかないとか、てなに?
2.大人向けには、梅沢由香里さんのNHK出版本がわかりやすい
3.楽しさの全体をつかむには、影山利郞さんの
決定版よくわかるやさしい囲碁入門
がおすすめ
4.勝負の全体をつかむには、石倉昇さんの
石倉昇のすぐに役立つ初級突破法 (NHK囲碁シリーズ)
がぴったり
5.入門総まとめは、
東大教養囲碁講座―ゼロからわかりやすく (光文社新書 309)
(石倉昇さん、梅沢由香里さんと東大の先生)
6.囲碁の基本用語と機微を熱く語る、藤沢秀行さんの
よくわかる囲碁